虚構と事実 投稿者:床下の仕掛人 投稿日:2007/07/28(Sat) 22:08 No.1304
田駄雄作様 PCトラブル復旧、近鉄名古屋線を手本に復旧される田駄さんの姿勢に敬意を表します。パソコン音痴の小生は、職場で何かPCのトラブルがあるとすぐに同僚の助けを借りて、ちっとも進歩がありません。
ブログに書かれていた津軽鉄道の自走するラッセル車、札幌駅構内のEF81、全く田駄さんと同感ですが、一般の読者は何の違和感もなく受け入れていることでしょう。我々は事実がわかっているだけに、違和感を通り越して拒否反応を示してしまいますが、"虚構"を素直に受け入れられない哀しい人種なのかもしれません。でも、最低限の"事実"は曲げないでほしいという感覚は、きわめて自然なことだと思います。
2ヶ月ほど前、『電車屋赤城』という小説を読みました。著者は実際に電車の整備に携わったことのある文筆家で、舞台は名前こそ仮名になっていますが実在する神奈川県下の私鉄です。小生は昔、仕事でこの鉄道と関わったことがあるので、かなりの思い入れをもってこの小説を読み始めました。 文章のそこかしこに、実際に電車のメンテに携わったことのある人でしか書けない細やかな表現があり、またその鉄道でしか通用しないスラング(俗語)が出てきて、小生としては興味津々、懐かしさに浸りながら読みふけりました。ところが、ちょうど全ページの真ん中あたり、下記のような記述に出くわした途端、小生の感情は醒めてしまいました。 「モーターは、電磁石となる回転子と、永久磁石のある外枠で構成されている。」 ちょっと待って、これは事実とは反するでしょ。残留磁気云々の議論をするにしても、永久磁石と言い切ってしまっては、読者は鉄道模型と同じようなモーターで電車が動いていると認識してしまうではありませんか。 最近は試験的に主電動機として使っている同期電動機の回転子に永久磁石を埋め込んだものがありますが、直流主電動機百年の歴史の中で、界磁に永久磁石を使用したものは皆無のはずです。(もしあれば小生の不勉強です。ご教示ください。)
ドラえもんの"どこでもドアー"が出てくるような小説は別として、やはりフィクションであっても事実からあまりかけ離れてしまうと、首を傾げてしまいます。これも小生の哀しい性(サガと読みます。はなわ君の故郷ではありません)なのでしょうか。
Re: 虚構と事実 - 村樫四郎 2007/07/29(Sun) 21:53 No.1307 床下の仕掛け人様 小説に現れる鉄道シーンには胸躍らされて来ましたが嘘っぽいと言うか明らかにおかしい描写に接するとしらけてしまいますね。 学生時代に読んだ中野重治著「汽車の罐焚き」の29637のキャブ内の描写、著者は部外者なのに良くここまで書き上げたなあと思います。 判りやすく表現する以前にドキュメントではなくても間違った情報を発しないよう作者に期待したいです。Re: 虚構と事実 - 床下の仕掛人 2007/08/03(Fri) 00:17 No.1308 村樫四郎様 コメントいただきありがとうございます。先週末から海外出張しており失礼いたしました。 村樫様については田駄様から伺っており、また季刊『国鉄時代』の玉稿も拝見しております。小生は日本の現役蒸気機関車をカメラに収めた最後の世代ですが、村樫様はひと回り以上先輩とお察しいたします。今後ともよろしくお願い申し上げます。 Re: 虚構と事実 - 田駄雄作 2007/08/04(Sat) 01:22 No.1314 投稿者のサイトor参照URL床下の仕掛人さん、村樫さん、コメントありがとうございます.
テレビドラマなどでも鉄道が出てくると「こんな訳ねえよ〜」なんて叫びたくなることが多々あります.池田光雅さんが「拝啓○○川警部殿」という本を出され小説の中の矛盾を指摘されていましたね. おそらく我々が知らない分野や時代劇などでは、そのようなことが多々あるのでしょうね. 村樫さんご紹介の「汽車の缶焚き」は親父の持っていた昭和文学全集の一冊に「蟹工船」などと共に収録されていて、厳しい労働の現実を子供ながら感動しながら読んだ思い出があります.
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