"気まぐれpicture" 019 (2004.4.24)

SUD EXPRESS

1976年9月の欧州取材旅行時に、ポルトガルからオーストリアまで夜行連泊で3000km近い距離を北上した.
ポルトガルからパリまで最初の晩はワゴン・リーの1等寝台車を奢る.贅沢かも知れないが、ユーレーイルパスが使えるので差額料金は確か6000円位.2食付き一人個室だからそれ程の出費では無かったと思うし、めったに乗車のチャンスがあるわけでもない. ところがこの列車、のっけから8時間以上の遅れ(折り返しの列車が事故で遅れたため=後で知った)、イベリア半島の夕景を眺めながら優雅に晩餐を楽しむはずが、ポルトガルのコインブラ駅から乗車したのはすでに日付が変わった後だ. 途中駅なので情報が上手く伝わって居らず、言葉が満足に通じないために(いつ列車が来るか判らないので)食事に行くことも出来ない中でひたすら待ち続けた末の乗車だが、すでに食堂車はクローズ!しかし込み込みの料金なんだからと強引に交渉してなんとか遅い晩餐にありつくことができた.
この列車は"SUD EXPRESS= シュドゥ・エキスプレス=南急行" (リスボン・ポルト-パリ) というが、別名が「リスボン特急」.映画で有名になったあの列車だ.
写真はスペイン/フランスの国境駅アンダイ(Hendaye) にて.列車のメインの部分1・2等コンパートメント車と2等寝台車はここで台車交換の上、パリまで直通する.ワゴン・リーの1等寝台と食堂車はこの駅止まり.乗客はフランス国鉄SNCFの客車に乗り換えとなる.筈だった.
ところがところが!この日は大幅な遅延のために、フランス国鉄の"SUD EXPRESS" は乗客と直通客車の到着を待たず薄情にも出発した後.そのため後続の鈍足急行に乗せられるというハプニング続きだった.アンダイ発14:50.これでパリ発の夜行に乗れるのだろうか?巴里の灯はまだ800kmの彼方だ.

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クラッシックな客車の側面に輝くワゴン・リーのエンブレム.

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これが乗車したワゴン・リーの1等寝台車.すべて個室.

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隣にはこれもワゴン・リーの食堂車が連結.シェフもお疲れさん.

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結局この食堂車では3食お世話になった.本来は予定になかったランチはしっかり別料金を請求された.(かなり高かったような記憶)

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スペイン国内でお世話になった機関車はこのグリーンのEL.スペイン国鉄RENFEではポピュラーな形式だ.しかしこのご面相はどっかで・・・?
アンダイ駅はフランス側の駅だが、一応ホームはスペイン/フランスと仕切られている.この写真は国境?の金網越しに撮影したもの.
※列車到着直後は境界のゲートに係官がいて入管手続きをするのだが、終了すると閉鎖することもなくフリーになる.フランスからスペインに向かう場合はスペイン側の駅、イルン(Irun)で乗換え.

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側面にはスリーダイヤモンドが誇り高く(バッド・タイミングなコメントで失礼) 輝いていた.そう日本製(現地組立て車もあり).正にEF60の顔.

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オリエント急行でお馴染みのワゴン・リー客車だがフランスや西ドイツ(当時)では新型が使われ、高速運転をしないスペイン、ポルトガルには旧型車両が回されているようだ.もちろんこれに乗車できたのは嬉しいこと.

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無理矢理食べさせて貰った深夜のディナー.スープは品切れだそうだ.
持っているのは予約カード.コーヒーカップにはワゴン・リーのマークが.

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個室内はリニューアルされていて外観ほどレトロではなかっ
た.隣同士の個室はこのようにドアでコミュニケートできる.
疲れ気味のダレた顔で失礼.


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パスポートを預けておけば、夜中に国境で
起こされずにすむ.スタンプにも列車名が.


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アンダイから乗車したパリ行きの鈍足急行.(とは言っても140km/h位でぶっ飛ぶ) 途中ボルドーで先行するTEEの"エタンダール" に飛び込みで乗車.パリではオステルリッツ駅からノール駅まで気が急く中を満員の地下鉄で移動. やっとこさっとこの事で、ブカレスト行きの"ORIENT EXPRESS" のデッキを駆け上がったのは出発5分前だった.

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