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貫通ブレーキ 投稿者:床下の仕掛人 投稿日:2010/10/02(Sat) 10:03 No.2223
田駄雄作さん、銚子・流山の話題、ブログで拝見いたしました。"兜"を介して異種の連結器同士を繋ぐ珍しい光景がありましたが、「ブレーキ管は繋ぎません」というところが気になりました。これは以前に田駄さんがヨン・サン・トオの初日、故障した483系「やまばと」?がEF58に牽引されて上野に到着した直後の写真に、ブレーキ管らしきものが写っていない謎を提起されましたが、これに一脈通じる話です。

「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」第95条に次のような条文があります。"二両以上の車両で組成する列車には、組成した全ての車両に連動して作用し、かつ、組成した車両が分離したときに自動的に作用するブレーキを使用しなければならない。ただし、列車の安全運転に支障を及ぼすおそれのない措置を講じた場合は、この限りでない。"
これは、いわゆる"貫通ブレーキ"の使用を定めたものですが、ブレーキ管を繋がないということは、貫通ブレーキを使用しないということになります。もちろん、双方の車両に運転士が乗務し、警笛合図などによりブレーキを操作するので、"ただし・・・"に該当すると解釈するのだと思いますが、一抹の疑問が残ります。

またもうひとつ、流山の写真に車内に設置された"回送用ブレーキユニット"がありました。たしか西武N101系は電磁直通空気ブレーキだったと思いますが、この方式はバックアップとして自動空気ブレーキの仕掛があるはずです。わざわざ"回送用ブレーキユニット"を使わなくても、JRの機関車からの自動空気ブレーキを作用させることが可能と思いますが、何か理由があるのでしょうか。また、運転台のブレーキ弁が撤去されているのも不思議です。(すると、流鉄線内でこちら側はブレーキ操作不能?)

田駄さん、或いはどなたかこのあたりに明るい方、後学のためにご教示いただければ幸いです。
Re: 貫通ブレーキ - 田駄雄作 2010/10/02(Sat) 10:40 No.2224 投稿者のサイトor参照URL
専門家の方よりのご質問の答えとしては,あやふやで申し訳ありませんが.西武の101系以降の形式はただの電磁直通ブレーキではなく「全電気指令式電磁直通空気ブレーキ( HRD−1R)」なので,自動ブレーキでの回送ができずに,必ずブレーキユニットを搭載すると云うことになっているようです.大分前ですがE851電気機関車のさよなら運転時の雑誌記事に、「(E851に)電車を牽引させるのは車内にユニットを搭載せねばならず,乗客のいる列車では不可である.」と書かれていた記憶があります.

流鉄線内では,回送中の編成は通常のブレーキ機能は死んでいる上,連結器も自連に交換されて,牽引する2000系にも他車のブレーキを制御する装置は積まれていませんので,線路閉鎖を行った上(回送運転中は線内の他の列車は動いていません)で,最高速も45km/h程度に抑えて特例運転を行ったものと思います.

この辺はホビぽっぽさん他詳しい方がいらっしゃいますので,西武BBSの方へ転載しておきます.
ちなみに先日の銚子電鉄の併結もブレーキ管は繋がず,それぞれの運転手さんがブレーキ操作をしていました.


Re: 貫通ブレーキ - 床下の仕掛人 2010/10/02(Sat) 18:01 No.2225
田駄雄作さん、さっそくご返信ありがとうございます。西武の電車にはあまり詳しくありませんが、たしか101系とそれから派生した5000系、4000系、10000系などが電磁直通空気ブレーキ(発電ブレーキ併用)HSC-D、2000系とそれから派生した3000系が電気指令空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)HRD-1Rだったように記憶しています。西武の電車に詳しい先輩諸氏のご解説をお待ちしたいと思います。

Re: 貫通ブレーキ - 田駄雄作 2010/10/03(Sun) 01:30 No.2227 投稿者のサイトor参照URL
私の記憶違いもあるかもしれませんが,専門家の方の突っ込みに素人の私が言い訳をする必要もありませんね.
私は現実を記録してそのまま公開しているだけです.何かおかしなやりとりです.
ぜひお知り合いの西武鉄道の関係者にお尋ねになって,その結果をご報告いただければ幸いです.

と言い放ってしまうのもつれないので,前述の鉄道ファン誌の記事を探し当てました.(ちゃんと整理していないので大変でした)

以下鉄道ファン1996/8月号,「さよならE851(西武鉄道運輸部営業課新田力氏執筆)」より,引用いたします.E851のさよなら運転で電車を牽かせてはどうか?という案が出た下りです.

「当社の101系や4000系,10000系などは.JRの103系や165系などと同じように自動ブレーキと電磁直通ブレーキを備えている.前述したJRの電車では,機関車との間にブレーキ管を1本引き通すだけで常用の自動ブレーキを作動させることができるが,当社の電車では非常用として自動ブレーキを装備しているために,このようなことができない.甲種回送のときに用いる自動ブレーキ装置を載せてはどうかという意見もあったが,客室内に一部の機器や配管が出てしまい,お客さまを乗せるには不向きなことが明らかになった.」

ということです.その結果JRの12系客車を借り入れることになりました.



Re: 貫通ブレーキ - ホビぽっぽ 2010/10/03(Sun) 02:20 No.2228
私は以前、車両メーカーに勤務していましたので、新車や改造車の回送にも携わったことがあります。
以下は当時の経験・聞いたことですので厳密に法規条文通りではないかもしれません。法規が改正されている可能性もありますので参考程度にされてください。

おっしゃる通り、貫通ブレーキがないと列車分離したときに危険です。また車種によってはブレーキ装置が原理的に機関車に対応可能なものもあります。

当時の国鉄(今のJR貨物もさほど「規制緩和」されてないと思います)が甲種輸送として機関車牽引走行をする場合には、列車掛なり路線の担当者が何らかの理由でブレーキ装置に手を触れなければならない場合、まったく初めて見る他社の車両では機器配置などがわかりません。
貫通管の空気が抜けるとブレーキがかかりますので、留置中にブレーキが利いてしまい、構内入換のために強制的に緩解させる場合などに必要になります。
(床下のブレーキシリンダーの締切りコックは開通させた状態で緊縛固定していました)
いわばブレーキ装置を貨車のカテゴリーに「共通言語」とする目的と、不慮の故障によって他の運行を妨げるリスク回避のためにも、「責任区分」という理由で検査済みで有効期限内の回送ユニットを搭載しなければならないと聞いています。

国鉄(当時)入線に当たっては、事前に新鶴見など近くの貨車区から検査官が派遣されて、出発地の工場なり電車区で検査を受けました。
ユニットの緊縛方法が甘いと指摘を受けて補強したことがありましたし、単車試験機という装置で減圧に対するブレーキ圧や感応時間なども測られ、結構厳しい仕事でした。

現在東京メトロなどでは回送車両が深夜に本線を牽引されて走行を行っていますが、あれも貫通ブレーキがない状態かもしれません。しかし係員が回送車両に添乗し、万が一の時は貫通管の空気を人為的に抜いてやればブレーキをかけられます。車掌弁の原理ですね。
抜いちゃったらあとはどうするのか知りません…

中間連結器(アダプター)にも規制があって、換算何両まで、速度は何キロなどの決まりがありました。(数値は忘れてしまいました)
こうした話は面白い事例など、非常に長くなりますのでまた機会を改めさせていただきます。


Re: 貫通ブレーキ - 床下の仕掛人 2010/10/05(Tue) 00:20 No.2231
田駄雄作様

小生の投稿が不愉快な思いをさせてしまったようで申し訳ありません。きちんと裏付けを取らず、記憶に頼って軽い気持ちで投稿してしまったこと、深く反省しております。
また雑誌記事の検索、お手数をおかけいたしました。原文も読ませていただき、内容を理解することができました。ありがとうございました。


ホビぽっぽ様

初めまして、床下の仕掛人と申します。このたびは回送方法や貫通ブレーキについて、懇切なご解説ありがとうございます。

今回話題となった西武N101系については、バックアップの自動空気ブレーキが非常ブレーキだけに対応している(鉄車工の古い資料に「非常弁付き」という表現がありました)ので、回送ユニットが必要ということがわかりました。しかし、ご解説にあるように「貨車と共通に」「責任区分を明確に」するために回送ユニットの使用が求められる背景も理解できます。最近の電車はほとんど電気指令空気ブレーキですが、牽引回送のときそれを活かさず回送ユニットを使用する例が多い理由も、そのあたりにありそうですね。

貫通ブレーキの不使用については、省令の解釈基準に講ずるべき措置として「・・・後部に連結し、その車両に監視に当たる係員を乗り込ませ・・・」とあるので、流山の例はそれに該当するものと思われます。しかし、牽引される車両はパンタを降ろしてコンプは動かず、空気ダメの空気は馬橋に到着したとき機関車から込められたものだけが頼りです。電車で牽引回送中は、いざという時に車掌弁?で非常ブレーキをかける一本勝負になると思います。(緩めるにも空気が必要だし・・・)

添付写真は伊豆急100系(当初は電磁自動空気ブレーキ、後に電磁直通空気ブレーキに改造)ですが、密着連結器に”兜”をかぶせ、ブレーキ管を繋ぐだけでいとも簡単に機関車で牽引することができました。電磁直通空気ブレーキは全てそれが可能という思い込みがあって、小生の不勉強でお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。

これをご縁に、今後ともよろしくお願い申し上げます。


Re: 貫通ブレーキ - ホビぽっぽ 2010/10/05(Tue) 13:09 No.2232
こうしたイレギュラーな事例に関しては興味がわきます。

旧国鉄の車両には、連結器胴受けの横に斜め45度の配管がちょこっと出ている物がありますが、あれが自動ブレーキ用の貫通管をつなぐときの配管です。(画像中央部)
非常時にはゴムホースで機関車とつなげば自動ブレーキが使えます。
実際には「貨車」としては寸法的に位置が異なるのと締切コックが遠いため、意図的な回送時には別にコックの付いた配管を付けました。
伊豆急は国鉄規格で車両を作っていましたので、こうした部分まで共通なのでしょう。
連結器についても、本格的に回送する場合は柴田式自連(これがめっぽう重い)に付け替えるのがセオリーで、高さを合わせるには胴受けに木の角材を縛り付けていました。

回送車両には留置用の「手ブレーキ」に相当するものがありませんから、かつては必ず「ヨ」や「ワフ」が前後をサポートしていました。
車掌車の廃止にともない、回送車両も留置が難しくなったということですね。
長距離にわたって機関車を付け替えなくなっているようですが、これも理由のひとつかもしれません。

ブレーキユニットにはタンクや弁のほか各種の締切・放気用のコックが付いています。
車内にブレーキユニットがあると、添乗員がコックを操作すれば不緩解の解放や、非常ブレーキの操作(車掌弁の代行)を走行中でもできるということです。


Re: 貫通ブレーキ - 田駄雄作 2010/10/06(Wed) 22:37 No.2234 投稿者のサイトor参照URL
ホビぽっぽさん,詳しいご回答をありがとうございます.さすが実際に現場にたずさわっていた方のお話は興味深いものがあります.

なおこの件に関しては話が尽きないでしょうが,ホビぽっぽさんにご負担がかかりますので,この辺で打ち止めといたしましょう.


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